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help リーダーに追加 RSS 二次創作小説【花より男子-長編-第15章】

<<   作成日時 : 2008/07/21 18:36   >>

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 【 嫉 妬 】





心に嫌な予感を抱えながら、俺は二人の後を、追いかける。

俺が辿りついた時には、二人は既に、扉の向こう側にいた。

様子を伺おうと、近づいていったら、すげ〜叫び声が聞こえてきた。

アイツが、裏庭に向かって、叫んでいたんだ。

俺は一瞬、唖然として、その後、

プッ――

扉の内側で、思わず一人で吹き出した。

すげ〜女だ。

さすがはあの店で、俺に向かって、意見しただけの事はある。

そう思って、様子を見ていたけれど、アイツが振り返った、その場所には、類が居て、類は、アイツと目が合った途端に、声をあげて笑い出した。

その後も暫くの間、類は、腹を抱えて、笑っていた。

その表情に、何やらまた、嫌な感じを受ける。

類が、こんなにも大笑いした姿を、腐れ縁の俺でも、一度も見た事がない。

類は、嫌っていう程笑い転げると、その場所に腰を降ろした。

何やら二人で、話をしている様子。

コイツらは今迄も、ここで話をしていたのか?

そう思う位に、自然な雰囲気で。

そして何よりも、アイツが、学園では見た事のない顔で、笑っていた――

ザワめく、俺の心臓。

アイツが、俺のマブダチの、類の前で、あんなにも嬉しそうに、笑っていやがる。

いつもバイト先で見るような、楽しそうな顔をして、笑っていやがる。

その事に、俺の心は痛みを伴う。

何だ、この痛みは。

今までに、感じた事のない、痛み。

チクチクと、俺の心を、刺激してくる。


そして類も、何だかやけに、楽しそうだ。

類のヤツ、何、庶民の女なんかと、そんなに親しげに話してんだよ。

俺に何の断りもなく――

なんて、相変わらず、バカな俺。

普通、そこまで断りいれる必要なんて、ね〜だろ。

女同士じゃあるまいし。

そんな事は、分かってる。

分かっているけど、何だか無性に、腹が立つ。

ジリジリと、焦げ付くような、イラだち。

お前ら、ふざけんなよっ。

俺の前で、そんな楽しそうに、話してんじゃね〜よ。


アイツが、扉を開きそうだ。

どうやら、この場所から、出ようとしているらしい。

俺は慌てて、その場を立ち去った。



その日から俺は、何度となく、非常階段に向かう。

扉を開くわけじゃなく、内側から外の様子を、伺うように、見つめていた。

二人は時々、この場所で顔を合わせ、楽しそうに話をしながら、過ごしている。

それを目撃するたびに、俺の心は、鈍い痛みを伴う。

それがいつしか、イラ立ちに変わって、俺は、いい加減頭に来て、アイツの帰り道を、待ち伏せした。

アイツの後姿に、呼び掛ける。

その声には、今の俺の気持ちが、表れていたのだと思う。

俺の声だと分かると、アイツの体はまた、ビクと震えた。

ゆっくりと振り返った、その顔は、相変わらず怯えた表情。

その顔を見ると、俺は何だか話し辛くなる。

だから、一言、ただ、ちょっと付き合え。

それだけ言って、アイツの腕を掴み、半ば無理矢理、リムジンに押し込んだ。

ごちゃごちゃ言ってる、アイツの言葉を制して、俺は窓の外へ、視線を移す。

窓越しにうっすら見えている、アイツの表情は、ますます怯えている様子。

当たり前だよな。

ああ、何で俺は、こんな言葉しか言えね〜んだ。

何でこんな扱いしか、出来ね〜んだ。

何で類みたいに、自然に話す事が、出来ね〜んだ。

自分が、情けなくなる。

だから、車の中では、それ以上の言葉を、話せなかった。


いろんな店に連れて行って、アイツをどんどん着飾らせる。

へぇ、孫にも衣装、ってヤツだな。

磨けばそこそこ、可愛く見えるんじゃん。

心の中ではそう思ったけど、口に出す事なんて、相変わらず出来ない。

トータルケアが済んで、最後に、行きつけのフレンチレストランに、辿りつく。

そこでアイツは、突然怒りだして、捲くし立てるように、俺を責めた。

何でだよ?

何で怒んだよ。

こんなにも、持て成してやってるのに。

お前が喜ぶと思って、した事なのに、怒る事ね〜だろうが。

だから思わず、こっちもキレて、怒鳴りつける。

お互いに、ケンカ越しになって、食事を運んできた店員にも、俺は当り散らした。

それをアイツは宥めて、勝手に食事を運ばせる。

頭に来ている俺は、ソイツらに構いもせずに、怒鳴り散らしたけど、結局最後は、アイツが俺を一蹴して、事を治めた。

俺に向かって、散々な言いよう。

信じらんね〜。

ここまで言うかよ、俺に。

俺は、家族以外の人間に、初めて叱りつけられた。

家族以外、ったって、俺を本気で叱ってくれるのは、姉貴位だったけれど。

でも姉貴も、嫁に行っちまったし。

今の俺をセーブする人間なんて、正直一人もいなかった。

それをコイツは、サラッとやってのけた。

だけど、その時の俺はまだ、素直じゃなくて。

俺の機嫌は、至極最悪。

仏頂面で不貞腐れている、俺に構わずに、アイツは目の前の料理を、一人黙々と食べ始める。

そのうち今度は、行き成りニコニコ笑い出して。

今頃何だよ。

最初から、素直にそうしてればいいじゃね〜か。

訳分かんね〜よ。

相変わらず、押し黙ったままの俺。

そんな俺を、また叱り飛ばして、残さず食え、と言いやがる。

ふざけんなっ。

こんな気分で、食える訳ないだろっ。

そう思ったけど、マジで怒った顔してるから、仕方なくフォークを手にした。

その間もアイツは、旨い旨い、と言いながら、結局全部、食べ尽くした。

すげ〜食欲。

呆れて物も言えない。

でも、その嬉しそうな表情は、間違えなく、バイト先や、類と話している時と、同じ顔をしていた。

その顔に、今迄の事、全て、許してやりたくなる。

不思議なヤツだ。

その顔を見ただけで、俺の心は癒されるんだ。

最後に、大きくお辞儀なんてしやがって、照れくさいったらありゃしね〜。

ぶっきら棒に、怒鳴りつけたら、アイツは、不思議そうな表情で、俺を見ている。

暫くして、アイツは、そうかそうか、と言いながら、何だか一人で納得していやがる。

どうやら、今日の持て成しの意味が、分かったらしい。

そしてアイツは、俺に向かって行き成り、金で買えない物を見せてやる、と笑った。

その笑顔が、今迄で一番眩しくて、俺は自分の鼓動が、高鳴るのを感じた。

何だよ、この気分。

心底、嬉しいし。

今迄生きてきて、長い間ずっと、心に痞えていたものが、全て取り除かれたような、気分だ。

それに、今度付き会え、って、それって、俺を誘ってんのか。

ますます、照れくさくなる。

コイツといると、俺の心は、一喜一憂する。

滅茶苦茶嬉しくなったり、反して、急に胸が、痛くなったり、イラついたり。

忙しく、活動を、し始める。

それでも、一緒にいたい、そう思う。

今度の土曜日が、楽しみで仕方がなかった。







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