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help リーダーに追加 RSS 二次創作小説【花より男子-長編-第14章】

<<   作成日時 : 2008/07/18 20:58   >>

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 【 安らかな、ひととき 】





そんな頃、午後かったるくなって、いつも逃げ込む保健室へ向かう。

珍しく保健の先公がいなくて、でもいつもの事だし、勝手にベットを、使わせてもらう事にした。

幾つかあるベットの、空きを確かめようと、カーテンを引いたら、その一つに、アイツが眠っていた。

ドキン――

その寝顔を見たら、俺の心臓は大きく飛び跳ねた。

慌ててカーテンを閉めて、隣のベットに横になる。

横になったけど、何だか気になって、眠れない。

妙に高鳴る、俺の心臓。

さっき見た、アイツの寝顔は、心底気持ちよさそうで、学園で初めて見る、安らいだ表情。

それを見れた事が、何だかやけに嬉しくて、この偶然に感謝する。

これってもしかしたら、話しかけるチャンスかも、しれね〜よな。

単純な、俺の頭。

アイツが目覚めるまで、ここで横になっていよう。

この空間で、アイツと二人きりだという事が、やけに嬉しい。

って、何でそんな事、思ってんだ。

有り得ね〜だろ。

足手纏いの女なんて。

俺の人生に、必要ね〜だろ。

何、考えてんだよ――

なのに、腐れ縁のF3(アイツら)といる時より、いつものイラ立ちがないんだ。

退学ゲームで勝った時より、ウキウキしていやがる。

アイツの寝息が、俺の耳元を、優しく撫でていく。

どうかこのまま、保健の先公が、戻って来なければいい、なんて、そんな事を祈っている、俺。

こんなにも、優しい時間があるなんて、初めて知った。

心が、穏やかになっていく。

波が静まって。

風が止んで。

ここだけ、時が止まったかのようで。

このままずっと、この時が続けばいい、そう思った。

例えようもない、幸福感。

固まっていた神経が、一気に緩んで、不意に眠気を催す。

ダメだ、寝ちまったら、折角のこの時間を、味わえなくなる。

その間に、アイツが起きたら、ここから出て行っちまうじゃね〜か。

取り残されるのなんて、ゴメンだ。

二度と来ない、時間かもしれね〜のに。

うつらうつらとした、意識の中で、俺はそう思っていた。

眠りに入る、直前だったのだと思う。

カタリ、と小さな音がして、やがて勢いよく、カーテンを引く音。

そして、小さな、悲鳴――

何だ?

何かあったのか。

そう強く思った俺は、ゆっくりと目を開ける。

隣に、アイツはいなかった。

慌てて飛び起きたら、静かに保健室を出て行こうとする、アイツの後姿。

「おいっ」

咄嗟に呼び止めたから、いつもの癖で、少し口調が、荒っぽくなっちまった。

アイツは肩を震わせて、慌ててその場に立ち止まる。

俺が恐いのか、振り向きもしない。

だから俺は、その後姿に、言葉を投げ掛ける。

今度は冷静に、静かな口調で。

その俺の言葉に、やっとの事、振り向くアイツ。

恐る恐る振り向いた、アイツの表情は、未だに怯えた顔つき。

気まずそうに、俺を見上げるその顔が、何だか切ない。

分かってる。

そんな顔をさせてるのは、俺だし。

そんな事、分かってるけど、やけに寂しく感じられる。

俺はその顔を、笑顔に変えたくて、何とか言葉を発したけど、アイツの必死の形相に、それ以上の言葉を、発する事が出来なかった。

気まずくなって、結局何も言わないまま、俺は足早に、保健室を出て行った。


でも、やっぱり気になった俺は、三年の校舎へ行こうとした足を止めて、立ち止まり、振り返る。

アイツは、ずんずんとした足取りで、保健室を出て行った所。

もう一度、キチンと話そうと思って、アイツの後を追いかけた。

角を曲がったら、その先に、アイツの姿を見かける。

T字路になっている廊下を、丁度左に曲がる所だった。

あの先は確か、非常階段があったはず。

誰も行かないような所で、助かった。

あそこなら二人で、ゆっくり話が出来そうだ。

そう思って後に続く、俺の目の前を、類が通り過ぎた。

何だ?

類も、同じ方向に向かっている。

アイツも、非常階段に行くのかよ。

嘘だろ、おい。

どういう事だ――?







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