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【 安らかな、ひととき 】 そんな頃、午後かったるくなって、いつも逃げ込む保健室へ向かう。 珍しく保健の先公がいなくて、でもいつもの事だし、勝手にベットを、使わせてもらう事にした。 幾つかあるベットの、空きを確かめようと、カーテンを引いたら、その一つに、アイツが眠っていた。 ドキン―― その寝顔を見たら、俺の心臓は大きく飛び跳ねた。 慌ててカーテンを閉めて、隣のベットに横になる。 横になったけど、何だか気になって、眠れない。 妙に高鳴る、俺の心臓。 さっき見た、アイツの寝顔は、心底気持ちよさそうで、学園で初めて見る、安らいだ表情。 それを見れた事が、何だかやけに嬉しくて、この偶然に感謝する。 これってもしかしたら、話しかけるチャンスかも、しれね〜よな。 単純な、俺の頭。 アイツが目覚めるまで、ここで横になっていよう。 この空間で、アイツと二人きりだという事が、やけに嬉しい。 って、何でそんな事、思ってんだ。 有り得ね〜だろ。 足手纏いの女なんて。 俺の人生に、必要ね〜だろ。 何、考えてんだよ―― なのに、腐れ縁のF3(アイツら)といる時より、いつものイラ立ちがないんだ。 退学ゲームで勝った時より、ウキウキしていやがる。 アイツの寝息が、俺の耳元を、優しく撫でていく。 どうかこのまま、保健の先公が、戻って来なければいい、なんて、そんな事を祈っている、俺。 こんなにも、優しい時間があるなんて、初めて知った。 心が、穏やかになっていく。 波が静まって。 風が止んで。 ここだけ、時が止まったかのようで。 このままずっと、この時が続けばいい、そう思った。 例えようもない、幸福感。 固まっていた神経が、一気に緩んで、不意に眠気を催す。 ダメだ、寝ちまったら、折角のこの時間を、味わえなくなる。 その間に、アイツが起きたら、ここから出て行っちまうじゃね〜か。 取り残されるのなんて、ゴメンだ。 二度と来ない、時間かもしれね〜のに。 うつらうつらとした、意識の中で、俺はそう思っていた。 眠りに入る、直前だったのだと思う。 カタリ、と小さな音がして、やがて勢いよく、カーテンを引く音。 そして、小さな、悲鳴―― 何だ? 何かあったのか。 そう強く思った俺は、ゆっくりと目を開ける。 隣に、アイツはいなかった。 慌てて飛び起きたら、静かに保健室を出て行こうとする、アイツの後姿。 「おいっ」 咄嗟に呼び止めたから、いつもの癖で、少し口調が、荒っぽくなっちまった。 アイツは肩を震わせて、慌ててその場に立ち止まる。 俺が恐いのか、振り向きもしない。 だから俺は、その後姿に、言葉を投げ掛ける。 今度は冷静に、静かな口調で。 その俺の言葉に、やっとの事、振り向くアイツ。 恐る恐る振り向いた、アイツの表情は、未だに怯えた顔つき。 気まずそうに、俺を見上げるその顔が、何だか切ない。 分かってる。 そんな顔をさせてるのは、俺だし。 そんな事、分かってるけど、やけに寂しく感じられる。 俺はその顔を、笑顔に変えたくて、何とか言葉を発したけど、アイツの必死の形相に、それ以上の言葉を、発する事が出来なかった。 気まずくなって、結局何も言わないまま、俺は足早に、保健室を出て行った。 でも、やっぱり気になった俺は、三年の校舎へ行こうとした足を止めて、立ち止まり、振り返る。 アイツは、ずんずんとした足取りで、保健室を出て行った所。 もう一度、キチンと話そうと思って、アイツの後を追いかけた。 角を曲がったら、その先に、アイツの姿を見かける。 T字路になっている廊下を、丁度左に曲がる所だった。 あの先は確か、非常階段があったはず。 誰も行かないような所で、助かった。 あそこなら二人で、ゆっくり話が出来そうだ。 そう思って後に続く、俺の目の前を、類が通り過ぎた。 何だ? 類も、同じ方向に向かっている。 アイツも、非常階段に行くのかよ。 嘘だろ、おい。 どういう事だ――? http://webclap.simplecgi.com/clap.php?id=mamag 続きが読みたい! と思ってくれましたら、こちらを押して拍手を送ってやって下さいませ。←前書きへ ←長編目次へ 二次創作小説【花より男子-長編-嫉妬】へは、 下にある( 《前記事 ・ TOPへ ・ 後記事》 )の、後記事》から進む事が出来ます。他作品をご覧になりたい場合は、 同じく下にある( 《前記事 ・ TOPへ ・ 後記事》の、TOPへから戻って、左サイドバーのテーマカテゴリより、ご希望の作品のテーマをクリックすると進む事が出来ます。 |
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