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help リーダーに追加 RSS 二次創作小説【花より男子-長編-第10章】

<<   作成日時 : 2008/07/04 13:11   >>

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 【 お金持ちデート 】





帰り道は二人とも、静かなものだった。

まるで言葉が、見つからない。

でも、それでいい、と思っていた。

この時のあたし達に、言葉は必要なかったから。

行きはあんなに苦労した道のりも、何故だか足取りが軽く感じられる。

心が開放されていて、歩く事を苦に思わない。


道明寺の放心が解けた時、あたしを振り向きながらも、アイツはまだ、ボンヤリした表情を、浮かべていた。

そんなアイツの手を、今度はあたしが取る。

ごく自然に、当たり前のように、あたしはアイツの手を取った。

今度はあたしが、アイツを助けているかのように、あたしはその手を、強く掴んで、離さなかった。

そうしてあたし達は、家に辿りつくまでの間も、ほとんど会話をしなかった。

あともう少しで、あたしの家に辿りつく頃に、道明寺が口を開く。

すげ〜ものを見せてもらった、って、普段の道明寺では、考えられない位、素直にそう言った。

そして、別れる寸前にアイツは、このお礼をさせてくれ、と言った。

自分には、お金を使う事しか、出来ないけれど、あたしが今迄、行きたくても行けなかった事、やりたくてもやれなかった事。

何でも叶えてやる、って。

今度は無理矢理、あちこち引っ張り回したりしないで、あたしの好きな所へ、あたしの好きな事を、何でも叶えてやる、って。

あたしは何だか、凄く嬉しくなって、頬を綻ばせながら、黙って頷いた。

本当に、別人になってしまったかのように、アイツの意識が変わっている。

その事が、手に取るように分かる。

それが何故だか嬉しくて、仕方なかった。

だからあたしは、黙って何度も頷いた。

連れて行って、そうはっきり、口にして。

夕日に染まった、アイツの顔は、何だか真っ赤になっているように、見えた――




あの日の約束通り、あたし達は次の週に、また約束していた。

今度は道明寺が、あたしの好きな所へ、連れて行ってくれるって。

どこに行こうか、迷ったけれど、七月の暑い盛り。

尚且つ、ゴージャスなプランとなれば、やはり、クルージングなんてどうかしら。

そう提案してみたら、何の事はない。

自家用のクルーザーが、あるんだって。

当たり前みたいに、そんなもんでいいのか、と言われて、何だか少し、複雑な気持ち。

でも、どんなに考えても、一介の庶民のあたしには、これ位の事しか、浮かんでこない。

これでも思いっ切り、贅沢なプラン。

大きなクルーザーに、たった二人で乗って、そこには、二人の為だけの料理人が付き、豪勢な昼食を作ってくれる。

食べ終わった頃に、船は小さな小島に辿りつき、何故あるのか、そこで待っていたリムジンで、島の中をグルリと回る。

たった一日で、しかも日帰りで、こんなに遠くまで、アッサリと来てしまい、何もかもが、贅沢の限りを尽くしていて、あたしの頭は、パンク寸前。

本当にコイツは、大金持ちの坊ちゃんなんだと、認識を新たにする。

分かっているつもりでいたのに、こうも目の当たりにすると、あたしは何でこんな人と、こんな所まで来てしまっているのだろう。

相変わらずその事には、現実味が沸いて来ない。

島から帰った後の夕食も、これまた豪勢で。

この前、無理矢理連れて行かれた時は、フレンチだったから、今度はイタリアンだそうで――

もうもう、一生出来ない贅沢を、その日一日で、経験させてもらった。

それなのに、まだ心残りはないか、と聞く道明寺。

どんなに知恵を絞っても、もう大した事は浮かんでこなかったけれど、一つだけ、ピンと来たものがあった。

ヘリコプター!

大声で叫んでみた。

だってあれって、十分で一万円とかするのよ。

庶民には相当、奮発するような贅沢なのよ。

それをアイツはまた、何だそんな事か、と言った。

その言葉に、ちょっとムッとするあたし。

自家用ヘリなんて、幾つもあるから、いつでも乗せてやれるけど、この辺りは夜景がキレイだから、まあいいかとアイツは、交渉しにいった。

戻ってきたアイツは、「一時間貸切にさせた」って――

何でもかんでも、「道明寺だ」その一言で、全てすんなりと、話が通ってしまうらしい。

全く持って、今日のあたしには、驚く事ばかりが起こるけど。

お礼だって言ってくれているのだから、今日だけは思い切って、甘えてしまおうと思った。

その後見た、東京の夜景は、この前の大自然の美しさとは、違うけれど、正に宝石箱をひっくり返したような、見るも眩しい光景だった。

あたしはヘリの窓に、釘付けになる。

最後に、こんな素敵な思い出を作れて、あたしは本当に幸せだと思った。

そう思わず口にしたのだけれど、その時の道明寺の心境は、並々ならぬものだったらしい。

そんな事を思っているなんて、その時のあたしは、全く気がついていなかった。







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